2012年5月30日水曜日

ちょっと硬めの文章になったけれど、要するに「みんなも気をつけてチョ」っていう話

「やっぱりラオアルか」——産經新聞の記事を読んだとき、私はそう思った。

人民解放軍総参謀部第二部。
中国語の略称でラオアルと呼ばれるインテリジェンス組織は、ときに駐在武官として、ときに(今回のような)書記官や民間人などにアンダーカバー(身分偽装)して、世界中で人的諜報活動を行っている。

中国のインテリジェンスは伝統的に「寝業」を多用する、と言われている。
対象国の政財界やマスコミなどの人間と懇ろな関係を築き、政治工作、世論誘導を行なうというものだ。
無論、日本の行政もそれを知っているから、例えば警視庁の外事課は極秘裏に麻布に拠点を設け監視したり、周辺人物やときには大使館員を協力者に仕立て上げたりするなど、対抗措置をとっている。

「だとすれば、今回の事件は氷山の一角では? 」と感じる方も多いだろう。
私もそう思う。
それだけでなく、日本側も諜報活動の存在・形跡を認めながら、闇に葬ってきたことは山ほどあるはずだ。
もし、いちいち摘発していたら、諜報活動の一端を掴むことはできても、全体像を把握できなくなってしまう。

今回は中国の「長い手」が日本の政府中枢にまで伸びていたから、警察としても公にすべき、あるいは、そうせざるを得ないと判断したのだろう。
(もっとも、警察庁サイドは現政権に大きな不満を持っているともいわれているから、お灸を据えるという想いもあったのかもしれないが)
一方のラオアルも今頃、収集した情報の真偽を確かめるのに必死となっているかもしれない。
諜報活動を察知した日本側が、意図的にディスインフォメーション(偽情報)を件の書記官に渡した可能性も、否定できないからだ。

筒井副大臣に対して「軽率すぎる」と思った方も多いだろうし、実際、同僚の民主党議員から同様の声も聞こえてくる。
また、このように書くと、何か途方もない世界のことを語っているように感じられるかもしれない。

しかし、どこかの国のスパイが次に狙うのは、このブログを読んでいるあなたかもしれない。
そして、あなたとスパイが懇ろな関係になり、さらにそれが公になったとき、「外為法違反」や「不正競争防止法違反」などの罪状で逮捕状を突き付けられるのは、あなただ。
スパイは外交官特権を行使して、すぐに帰国してしまうだろう。
——今回の書記官のように。

0 件のコメント:

コメントを投稿